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未知の世界へ!世界を広げる自分だけの冒険にでかけよう

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編集長 岡村祐介

WILD MIND GO! GO! 編集長
未知を楽しむ心を育てよう

誰もが一度は憧れる冒険。憧れはあっても、いざ冒険にでかけようとするとはじめ方が分からない、スキルが足りないなど、冒険にでかけるのはなかなかハードルが高いものです。
このHow toでは、冒険家が行うような大冒険から一部のエッセンスを抽出し、私たちでも取り組むことができるスケールのアクティビティとして、チャレンジする方法を紹介します。
冒険で大切なのは、ワクワクして主体的であることではないでしょうか?自ら進んで行う主体的な活動には、誰かの足跡をなぞったり、誰かに連れて行ってもらったりすることでは味わえない楽しさがあります。私自身は冒険家からは程遠い存在ですが、自分で考えた小さな冒険にでかけ、そこに訪れる新しい出会いや達成感を楽しんでいます。
世界を広げる自分だけの冒険を作りだしてでかけてみる、ということに挑戦してみましょう!

READY
準備するもの
  • 好奇心

  • ちょっとした行動力

STEP 1

冒険ってなんだろう?

冒険をはじめる前に、「冒険とは何か?」という問いについて考えてみたいと思います。冒険というと、どんなイメージが湧き上がるでしょうか?
誰も足を踏み入れたことのないジャングルの奥地で繰り広げられる困難、極寒に苦しみながら極点へ到達する物語など・・・いずれも、過酷で混沌とした状況のなかを葛藤しながら、達成できるかどうかわからない目標にむかっていく、そんなイメージでしょうか?

冒険と似たような言葉に、探検という言葉があります。この二つは実は少し違うことを指し示しています。冒険とは、「危険を承知してチャレンジする行為」であり、探検とは「未知の土地の調査を目的とした行為」です。冒険と探検は同様の活動を指し示す言葉でありながら、冒険がチャレンジする人の内面に焦点をあてているのに対し、探検は未知の土地という外側に焦点をあてた言葉です。

このHow toでは、冒険とは「未知にチャレンジすること」と考えて、探検という言葉の「未知の調査」という側面も重視した活動と考えていきたいと思います。

STEP 2

未知と向き合う

冒険とは「未知に対するチャレンジ」であると書きましたが、実はここに大きな問題があります。それは、もはや地球上には人が足を踏み入れたことのない場所が残されていない、という問題です。

前世紀までに北極点も南極点も、地球上の最高峰もそのほかの8000m峰も、到達が困難と考えられていた場所は次々に攻略され、地球上に処女地はなくなってしまったのです。未踏の地がなくなった現代、冒険家はどうしているかというと、地理的な「未知」ではない、新しい「未知」をクリエイティブな視点で見つけてチャレンジしています。「未知」は遠いところにだけあるものではなく、視点によって見つけるべきものになったのです。

私たちも、現代の冒険家にならって、クリエイティブな視点で「未知」をみつけてみようというのが、このHow toのねらいの一つです。冒険家とまったく同じスケールという訳にはいきませんが、それでも冒険家の思考をなぞり、未知との出会いから自分の世界を広げてみる。そんな風に考えるとちょっとワクワクしませんか?
では、次に「未知」を見つける方法を考えてみましょう。

STEP 3

既知を未知に変える

未知を見つける一つ目の方法は、「既知を未知に変える」方法です。分かりきっていることを、もう一度知らないものに変えてしまおうというものです。例えばこんな方法があります。

・体験する視点を変える
・アプローチを変える

「体験する視点を変える」
これは、世界を別の生き物や別の人の視点から眺める、という方法です。実は世界は誰もが同じように知覚しているわけではありません。同じ森に生きている動物でも、シカはシカが生きるために必要なことをシカ特有の方法で知覚し、クマはクマが生きるために必要なことをクマ特有の方法で知覚しています。それぞれの生き物が独自に持っている知覚世界を「環世界」といいます。別の生き物の環世界に入り込んでみることで知らない世界を旅する、視点を変えることでそんな冒険ができるのです。
環世界は動物に限ったものではありません。特に人間には多様な環世界があると言われています。生物学者は生物学者特有の知覚で世界を生き、狩猟採取民は狩猟採取民特有の知覚で世界を生きています。昔の技術や装備で古代や中世の人間の環世界に入り込んでみることも、既知を未知に変える冒険と言えるでしょう。

「アプローチを変える」
例えば、これまで自転車で移動していた場所を自分の足だけで移動してみるなど、移動の手段や方法を変えてみることです。訪れたことのある場所でも移動手段が変わると、困難が増えたり、これまで見えていなかったものに気づいたり、よく知る景色が一変します。さまざまな冒険記を読むと、これまで冒険家たちもこの方法で新しい冒険をしてきたことがわかります。犬ぞりの旅を徒歩に変えたり、グループで山頂を目指すのではなく単独で山頂を目指したり・・・。目標へ到達する方法をより困難なものとして、新しい未知にチャレンジしているのです。

STEP 4

自分の未知を見つける

未知を見つける二つ目の方法は、「自分にとっての未知を見つける」ことです。自分にとっての未知とは、ほかの人にはよく知られたことであっても、自分では行ったことのない場所や、体験したことのない出来ごとを指します。
自分にとっての未知を見つけるには、なんらかの地図が役立ちます。分かりやすいのは、馴染みのある空間的地図。地図を広げて目に入る訪れたことのない場所、そこが個人的な未知の場所です。しかし、やみくもに地図の上で知らない場所に出かけてみても、実際は知っていることの延長であまり未知を味わえなかったりするものです。

私なりのポイントを紹介します。それは「空白を見つける」こと。空白とは、知っている場所と知っている場所の間、つまり、「知っている場所の間にある知らない空間」を意味します。こういう空白は、知っているイメージから空想や妄想が広がったり、その空白を埋めたくなるような衝動だったりーいわゆるコンプリート欲のようなものーが生まれます。
私が練っている冒険計画は、以前訪れた多摩川の、最初の一滴が流れ出す場所と海に注ぐ場所、その間を川の流れや水を感じながら歩いてみるという冒険です。知っていることと知らないことのコントラストが際立つ空白は人を惹きつけます。こうした空白をうまく見つけることができるときっと楽しい冒険のアイデアが生まれます。

POINT

体験に関してもなんらかの地図があれば、自分にとっての未知を見つけやすくなるでしょう。例えば、訪れたことのある高度の範囲や、感じたことのある気温の範囲など、文字通りの地図ではなく、自分が知っている体験の範囲を地図に見立てると、どこに自分の未知の世界があるのか分かります。
以前、気温マイナス15度を下回ると鼻毛が凍るという話を聞き、この現象をどうしても体験したくて冬の北海道まででかけました。鼻の中で妙な違和感がピトっとなって満足したものです。

体験地図の描き方は、高度や気温といった外界を計測する尺度だけでなく、移動距離、滞在時間、植生、地質など、さまざまな基準で自分が知っている世界を描くことができます。
体験地図は未知をみつけるためのツールです。さまざまな地図をラフに描いてみて、体験地図の外側にある未知を見つけてみましょう。

STEP 5

冒険のアイデアを練る

未知を見つける二つの方法を紹介しました。少し時間がかかるかもしれませんが、ここで紹介した方法を活用して、未知をいくつか書き出してみましょう。未知を書き出せたら、次は挑んでみたい冒険のアイデアに仕上げていきましょう。
冒険とは「未知に対するチャレンジ」とSTEP1で説明しました。それでは、チャレンジにどのような特徴があるかと言うと・・・

・達成できるかどうかわからない
・過程が混沌として予測できない
・怪我などのリスクがある

こんなことだと思います。
あなたが書き出した未知に、こんな特徴はありますか?こうしたチャレンジの特徴を備えているのであれば、それはもう立派な冒険のアイデアです。
冒険に必要な時間や距離などのスケールが大きくなればなるほど、ここであげた特徴も大きくなります。過程が容易に想像できるものや、簡単に達成できそうなものはスケールを大きくすることを、反対に達成できるかわからないものはスケールを小さくしてリスクを減らすことを考えてみましょう。スケールが大きいとそれだけでワクワクしますし、誰もやったことのないチャレンジも同様にワクワクするものです。

書き出した未知について、スケールや体験がどれだけレアであるかを意識しながらチューニングしてみましょう。チューニングの方法は、特定の場所でなくても良いアイデアは場所を変更したり、場所が変更できないものは体験の内容やアプローチを変えたり、冒険のスケールやレア度を調節し、冒険のアイデアを現実的で魅力的な計画にしてみましょう。このプロセスは行きつ戻りつです。うまく行かないなら、もう一度未知を書き出してみましょう。

STEP 6

準備をする

冒険の準備はどのような未知に向き合うかにより、さまざまです。行き先のリサーチ、道具や装備を整えること、難易度が高いものだと自分のスキルや体力を向上させるなどの準備があります。準備は冒険をより安全なものにしてくれます。しかし、あえて少ない装備で臨むことはそれだけで難易度をあげたり、リサーチしても情報がない方がより魅力的に映ったりすることもあります。

混沌としてなにが起こるか分からない冒険の魅力と、それに備える準備。そのバランスを考えることも、冒険の楽しみの一つかもしれません。そして覚えておいて欲しいのは、メディアで見るような冒険の影には膨大な準備があることです。現地のリサーチ、装備に関する知識の獲得、心身のトレーニングなど、冒険家は意外なほど用心深いということをお忘れなく。

STEP 7

例えば、こんな冒険 1

  • 森のなかにウロのある巨木を見つけた
  • 枝が風でこすれて管楽器のような音が
  • 佇んでいると時が流れて光が移動していった

この森はなんども歩いたことのある森です。この見慣れた風景を、歩くことをやめてただただじっと過ごしてみることで、いままで知らなかった風景に出会えるのではと考えました。
チャレンジ要素は強くありませんが、森のなかを流れる時間に身をまかせた時どんなことが起きるのか、そこが未知でした。少しかっこつけた言い方をすると、森を空間として冒険したのではなく、時間的に冒険したというようなイメージでしょうか。

STEP 8

例えば、こんな冒険 2

  • 日没後、残照で巨大な倒木が怪しげに見える
  • 空にはまだ少し明かりが残っている
  • 照らされる風景はいつもと違って見える

こちらは、日中に歩いたことのある山道を、夜、ひとりで歩いた冒険です。既知を未知に変える方法として、夜やってみるという方法もあります。闇はなんとなく怖いものですが、昼間とはまったく異なる新鮮さや闇の美しさがあります。視界が限られるせいか、意識を自分の内側に向けさせるようなところや、小さな物音にも敏感になって鋭い感覚で外側を感じようとする外側への鋭い意識が交錯するような奇妙な心理状態になります。
ヘッドライトは装備として必携ですが、電池切れか故障で明かりがなくなってしまうと身動きがとれなくなってしまうので、予備のヘッドライトを持ちましょう。

STEP 9

例えば、こんな冒険 3

  • 洞窟のなかには、美しい氷柱が
  • あわい光に照らし出される岩肌
  • 太陽の光はありがたい、そしてあたたかい

今回のHow toで紹介した既知を未知に変える方法、この洞窟での冒険のように、感覚的にギャップの大きなプレ体験を設定することで、知っていることをもう一度新鮮に捉え直すことができます。

ある冒険小説を読んで、太陽の光に興味が湧きました。洞窟のなかで真の闇を味わったあと、太陽の光はどう見えるのだろう、そんなことに興味が湧き、以前友人に案内してもらった洞窟を訪れました。
洞窟のなかは光がまったく入らず、ヘッドライトを消すと息苦しさのような不安が押し寄せてきます。まったく視界の効かない闇を体験したあと、洞窟の入り口に戻るにつれて、わずかに岩肌が光を反射しているように見えます。ほんとうにほんとうに微かな光。夜明けとも違う、はかない光は、進むに連れて徐々に強まり、濡れた岩肌や氷の反射は徐々に強くなり、ついに頭上に一点の光の穴が見えてきました。明るさが増すのに連れて色が見えはじめ、すっかり明るい場所までくるとほんのりと暖かく、ほっとしたうような心持ちに。
太陽はありがたい、すごい。そんなことをまじまじと感じられた冒険でした。

※入洞許可と言っても洞窟に入るための許可が必要なこともあります。事前に許可が必要か、立ち入ることに問題がないか確認しましょう。

STEP 10

「やった!レポ」に投稿しよう

自分だけの冒険を体験したら「やった!レポ」に投稿してシェアしましょう。質問や感想はコメントに記入してください。

MATOME
まとめ

自分の知らない世界へ行く方法として、ガイドツアーがあります。こうしたサービスを使えば、自分のスキルや知識の不足を補い、安全に冒険的な感覚を味わうことができます。しかし、これだけだと、冒険の大事ななにかがすり抜けてしまうような気がしてなりません。それは、冒険に出かける前、そして出かけているときにも、全体を通して自分で考え、対応するという主体性なのではないかと思います。
ここで紹介した方法でできる冒険は、ガイドツアーのような華やかな未知性はないかもしれませんが、それでもガイドツアーでは感じることのできない喜びや充足感をもたらしてくれるでしょう。
冒険のあり方は、人それぞれで良いと思います。冒険なんて自分にはできないと考えずに、自分なりの未知を生の感覚で味わい、それを楽しむというマインドでぜひ冒険にでかけてみてください!

GROW CHART
成長スコアチャート
野性4
4知性
4感性
アクティビティ
感じる
環境
山 ・ 森 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学生高学年以上
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