2020.10.2921390 views

「もしも」に備えるエマージェンシーキットをつくろう

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藤原祥弘

エディター/ライター
ケガや災害に備える軽量・コンパクトな道具を集める

「ケガと弁当は自分もち」とは、登山の世界で古くから使われてきた戒め。この言葉のとおり、野外活動の最中に起きる事故やケガは自分の心身で負うほかありません。アクシデントが起きた場所が都市なら、すぐに病院にかかることができますが、人里を遠く離れていたら、町に下りるまでは自力で対処することに。また、近年苛烈さを増している自然災害は、安全なはずの自宅まで脅かすようになりました。大きな災害時には、町にいても病院を頼ることができないかもしれません。

野外活動はもちろん、災害への備えとして、いつでも持ち出せる軽量・コンパクトなファーストエイドキット&エマージェンシーキットをつくっておきましょう。

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READY
準備するもの
  • 密閉できるケース

    大小各1~2個

  • 絆創膏(小・中・大・特大)

    各3~10枚

  • 洗浄綿

    5~10枚

  • テーピングテープ

    一式

  • 包帯

    1巻

  • 医療用防水テープ

    1巻

  • サージカルテープ

    1巻

  • 三角巾

    1枚

  • 止血パッド

    1~2枚

  • 滅菌パッド

    3~5枚

  • 常備薬

  • 鎮痛解熱剤

  • ステロイド外用剤

    1本

  • ワセリン

    1個

  • 抗菌目薬

    1個

  • 人工呼吸用逆止弁付きフィルム

    1枚

  • 使い捨て手袋

    1双

  • ポイズンリムーバー

    1機

  • ダニ除去器

    大小各1本

  • ハサミ

    1本

  • トゲ抜き

    1本

  • ペットボトルキャップ(穴あき)

    1個

  • ライター

    1本

  • 瞬間接着剤

    1本

  • ヘッドランプ

    1機

  • ダクトテープ

    1巻

  • 細引き

    10m

  • 結束バンド

    10本

  • 針金

    8m

  • 固形燃料

    1~3個

STEP 1

お出かけセットをつくってみよう

  • 濡れないようにファスナー付き袋へ収納
  • 薬は外箱を切り抜くか用法をペンで記す

野外でのもしもに備える第一歩は、常備できる「お出かけセット」の用意から。誰もが、近所での野遊びのなかで小さなケガをしたり、体調不良になったことがあると思いますが、それらの経験を振り返って、そのときに役立った道具を思い浮かべてみましょう。

切り傷や擦り傷を覆った絆創膏、不意の下痢を止めた整腸剤、目に入った小虫を洗い流した目薬……。自分の人生で役立ってきた道具や薬が、手始めに用意するべきセットです。

最初からたくさんの道具を買い込む必要はありません。持ち出すのが面倒になるほど充実したセットよりも、気軽にいつでも持ち歩けるサイズと構成であるほうが重要です。

「お出かけセット」の構成を提案すると、絆創膏各サイズ、洗浄綿、常備薬、抗菌目薬、ライター、瞬間接着剤など、となるでしょうか。これら一式で重量は100g程度。軽量な防水ケースに収納して、携行する習慣をつくりましょう。

ライターと瞬間接着剤は、どちらかといえば、ファーストエイドよりもエマージェンシーキットに属する道具ですが、必要な場面では大活躍する道具です。軽量なのでいちばん基本的なセットに入れておくとよいでしょう。

あくまでもこれらは最低限のセット。STEP2で紹介するファーストエイドキットと足し引きしながら、自分の遊び方やフィールドに合ったベストな組み合わせを探してください。

STEP 2

ファーストエイドキットをつくる

  • 穴を開けたキャップは細く強く射出できる
  • 絆創膏では対応できない傷には創傷パッドを
  • 大出血を伴うケガにはヘモスタパッドを
  • 感染を防ぐために手袋やフィルムを活用

受傷時の最初の手当てに使うのがファーストエイドキット。内容としては、STEP1でつくった「おでかけセット」をさらに充実させて、より大きなケガや疾病に対応するためのセットです。装備が充実しているに越したことはありませんが、野外へ持ち出すことを考えて、軽量・コンパクトな内容で大きな効果を生める組み合わせを意識して揃えましょう。

具体的には、大きな傷に備える創傷パッドや止血剤、関節をサポートするテープ、吸血昆虫や有毒生物に備える除去器・吸引器、塗り薬などになります。

ケガをした際の処置の手順は、傷口をさっと洗浄し止血、パッド類で被覆となりますが、野外での洗浄で役立つのがペットボトルのキャップ。これに直径1mmほどの穴を開けておくと、細く強く水を射出できるノズルになります。ペットボトル、もしくはペットボトルとキャップの規格が同一の水筒を水入れにしておけば、改造キャップを使って少ない水で傷口の異物を洗い流せます。洗浄後は傷の形状や大きさに応じて、対応するパッド類で被覆します。

大出血に対して効果的なのが、医療機関でも使われる「ヘモスタパッド」。アルギン酸カルシウムが配合されたパッドが強力に体液を吸収し、効果的に止血ができます。

そして、処置に際して忘れてはいけないのが傷病者からの感染。写真の右下にあるのは使い捨て手袋と逆止弁付きの人工呼吸用フィルム。傷病者に直接触れないようにして感染から我が身を守りましょう。

STEP 3

小さな強敵、「虫」に備える

  • 緑の器具がダニ除去器

近年、侮れないのが虫などの生物による受傷です。有毒生物に注入された毒を除くには、注射器型の吸引器が活躍。虫に刺された痕を吸っておくと症状を軽減できます。

山野に哺乳類が増えたことで、これらを吸血するダニ類も増加。吸血生物は血を吸うだけでなく、ウイルスや原虫を媒介するので、吸血しているのを見つけたら速やかに除去して医療機関にかかる必要があります。虫体を潰さずに取り除ける専用の釘抜き型除去器は、今や必携品となりました。

STEP 4

事故に備える道具をそろえる

野外での不測の事態に備える道具がエマージェンシーキット(一般的には、ファーストエイドキットに不測の事態に備える器具を加えたもの)。重要な道具が壊れた際の修理器具や、体温の維持に関わる道具、ヘッドランプなどの重要な道具のバックアップなどが含まれます。

道具の応急処置で役立つのが細引き、針金、結束バンド、ダクトテープ(強力なガムテープ)など。壊れたバックパックの補修や、靴のソールが剥がれたときの修理などの場面で活躍します。

サバイバルシートは体が冷えた際の体温の維持に。泊まりがけの行動では寝袋やシュラフカバーを携行していますが、私はそんな活動の際も緊急時にすぐに取り出せるように、また、自分以外の受傷者にも渡せるようにサバイバルシートを取り出しやすい位置にしまっています。

固形燃料は雨中での焚き火のファイヤースターターとして。高所や緯度の高い場所では、夏季でも凍死するほど気温が下がることがあります。命をつなぐために焚き火が必要になったとき、一度火がつくと長く燃え続ける固形燃料は焚き火への着火を容易にします。濡れた薪しか手に入らなくても、固形燃料があればその火力で薪を乾かしつつ燃やすことができます。

STEP 5

エマージェンシーキットを補う道具たち

  • 非常時や僻地ではアナログが活躍する
  • 事故と手当ての経過は記録しておく

私はエマージェンシーキットと併せて、その機能を補う道具として腕時計とラジオ、小型マルチプライヤーの3つの道具も携行しています。

プロトレックのようなアウトドア向け腕時計にはコンパスや気圧計、日の出・日の入りの時間を示す機能を備えたものがあり、スマホやテレビから情報が得られないときに活躍します。

コンパスでの行動中のこまめな方角の確認は、道迷いを未然に防ぎ、日の出・日の入り時間がわかると、何時まで行動できるか、何時から行動できるか、といった計画が立てやすくなります。また、気圧計は外部から情報が得られない状況で天候の変化を知るのに役立ちます。

最近は気圧計やコンパスを備えた腕時計にも太陽光で充電できるモデルがあり、山深い場所や大規模災害など、充電が難しい状況で頼もしい機能です。

近年の台風や水害では大規模かつ長期間の停電が起こる傾向があります。こんなときには携帯電話の基地局そのものがダウンしてしまうことも。テレビやスマホから情報が取れないとき、ラジオは情報を得る道具として有効です。ラジオのニュースや気象通報と先述の気圧計を組み合わせることで、低気圧の位置やその後の天候の変化を予測することもできます。

ナイフを備えた小型マルチプライヤーは野外活動の必携品。針金を使った道具の修理は、プライヤーがあればこそできるものです。「小さなものを大きな力で掴む」場面は意外に多いので、携行する習慣のない人は、エマージェンシーキットに備えておくとよいでしょう。

また、直接的なエマージェンシーキットではありませんが、事故や手当ての経過を記せるメモとペンがあると、医療機関に引き渡すときに傷病者の名前や行なった処置をスムーズに伝達することができます。

STEP 6

キットを持ち運ぶ

  • 食品コンテナは内容物が傷みにくい

エマージェンシーキットを収めるなら、防水タイプのケースがおすすめです。万が一荷物が水没しても、内容物の機能が損なわれません。ケースにはロールクロージャー式のドライバッグ、もしくは密閉できる食品コンテナが考えられますが、前者は軽くてパッキングしやすいという利点があり、後者は中に入れた器具が揉まれないので損耗しにくいという利点があります。

STEP 7

キットを管理する

キットは一度つくったら入れっぱなしにせず、定期的な見直しが必要です。とくに、常時携行する絆創膏などは、度重なる衝撃でパッケージが開いてしまうことも。キットに入れた常備薬も、使用期限を把握しておきましょう。

キットの管理方法でおすすめなのがローリングストック方式です。つくったキットは家庭の薬箱と一緒に保管しておき、家庭内でのケガや体調不良はキットに入れたもので対応していきます。使った分を薬箱からキットへと補充すれば、キットの中身を常によい状態に保つことができます。

家庭の薬箱はいわば母艦。出かける場所や期間に合わせて、薬箱、ファーストエイドキット、お出かけセットの中身を自在に組み替えていきましょう。

STEP 8

防災用品と併せてキットをつくる

ファーストエイドキット・エマージェンシーキットは最小の防災用品。1個あれば頼もしいですが、手持ちのアウトドア用品との組みわせを意識すると、より効果的です。

別記事の「『保温』と『補給』を意識して、防災キャンプをはじめよう」では、アウトドア用品を活用した防災術を紹介しています。こちらの記事で紹介した道具は、エマージェンシーキットを相互に補完する機能があるので、ぜひ参考にしてください。

「保温」と「補給」を意識して、防災キャンプをはじめよう
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/201

STEP 9

『やった!レポ』に投稿しよう

オリジナルのファーストエイドキット・エマージェンシーキットができたら、ぜひ『やった!レポ』に投稿して、シェアしましょう。こだわりの収納や、実際に役立ったおすすめのキットなどがあれば「コメント」に記入してください。

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MATOME
まとめ

人里離れた山奥や大きな災害時など、自力で問題を解決しなくてはいけない場面で役立つファーストエイドキット・エマージェンシーキット。野外でケガをしたり事故に遭遇するたびにキットの内容は充実していきますが、面白いことに自分のキットが完成するころにはキットの中身の出番が減っていきます。キットが用意できているということは、それが必要になる場面が予見できているということ。ファーストエイドキット・エマージェンシーキットのいちばん大きな効果は、自分や家族、友人に起こり得る事故を想定することによって、事故を未然に防ぐことにあるかもしれません。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
5知性
2感性
アクティビティ
つくる
環境
山 ・ 川 ・ 森 ・ 街 ・ 田畑 ・ 海 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学校低学年以上
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