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2021.10.14245 views

秋は、植物の旅を観察しよう!

5

鈴木純

植物観察家
植物も旅をする? 実と種の工夫を楽しもう

植物は地面に根をおろし、芽生えた場所で一生を過ごします。その場から移動しない生き方は、手足を使って移動する動物との大きな違いと言えます。
ですが、植物にもその一生のなかで、えいっと遠くに移動する時があります。それは、植物が実や種となった時です。動物にくっついたり、羽を生やして飛んで行ったりと、旅をするのに適した姿に一時的に変身し、親元を離れていくのです。
秋は、そんな実や種の移動の工夫が観察しやすい季節です。植物たちのさまざまな移動の工夫を見つけて、秋の植物観察を楽しみましょう!

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READY
準備するもの
  • ルーペ、または接写できるカメラ

  • あるいは、スマホに接写レンズをつけるのもあり

STEP 1

植物の旅の工夫① 風に乗って飛んでいく

  • Sp 2d04bf19 421a 4342 9d2e 8c4113d87b5d
    イロハモミジのプロペラ式の種
  • Sp 25828f85 eb80 49be 92bc a8d57200bd35
    ユリノキの実
  • Sp b112edfb a6d7 42fc ba21 d31271556fb1
    実をばらすとプロペラ式の種がたくさん
  • Sp 3c95c1db 6985 4744 821b 6cde1d05c9ba
    ケヤキの種。葉と枝と種がセットで落ちる
  • Sp 1c42f104 d37b 4bb4 856f c0d7ceec1f76
    アオギリの種。ボートに乗ってゆらゆら舞う

まずは、風を利用する植物を探してみましょう。
街中でもよく出合えるのはモミジの仲間。種を包む果皮の先端がすーっと薄く伸びて、プロペラのような形をしています。この種を手に取ってパッと上に投げると、種はクルクル回転しながらゆっくり落ちていきます。羽のおかげで滞空時間が伸びるので、この時に風が吹けば遠くに行くことができます。
公園で見るユリノキや、庭木として植えられるシマトネリコなど、プロペラ式の種は多いのでぜひ探してみてください。

種が風に舞う仕組みは種類によってさまざまです。街路樹でよく見るケヤキは、葉っぱと種と枝をセットにして落とすことで、空を舞うようになっていて、公園で見かけるアオギリは、ボートのような形をした実に種がくっついて、そのまま風にゆらゆら揺れる仕組みになっています。
風に舞う種は、樹木でよく見られます。この種はどうかなぁと、色々な樹木を観察してみましょう。

STEP 2

植物の旅の工夫② こっそり人にくっついて移動する

  • Sp dc952033 593e 43d9 b6c4 3e53435dcd2e
    アレチヌスビトハギ。実の形が特徴的
  • Sp eb14f492 fb80 46da 91a3 23a5f64611ca
    実の周囲にはかぎ爪状の毛がびっしり
  • Sp 52f91ba6 dc83 41d2 9aab 3a81ed10c32b
    チヂミザサ。粘液でくっつく
  • Sp 4a4fdb8a 7716 4cc8 9875 c0449fbbe4ae
    オオバコの実。カプセル状になっている
  • Sp f5939cd6 5fe2 4ab6 bc20 e40ec3e5e7d1
    カプセルを外すと種が出てくる

この時期、空き地や草むらを歩いていると、ズボンにびっしり種がくっついていることがあります。いわゆる「ひっつき虫」です。これも植物が種を遠くに運ぶための工夫で、動物にこっそりくっついてヒッチハイクの旅に出かけます。
くっつき力抜群なのが、アレチヌスビトハギ。ちょっとした空き地や公園などでよく見かけます。どうしてこんなにくっつくのだろうと実を拡大して見てみるとびっくり。実の周囲にかぎ爪のような形をした毛がびっしりついています。これが服の繊維にしっかりとくっつくので、ちょっとやそっとでは離れません。

毛やトゲでひっかかる方法以外には、粘液でくっつく方法があります。公園の樹林の日陰によく生えるチヂミザサの種を見ると、なにやら水滴のようなものがキラキラ光っているのを発見することがあります。触ってみるとその手触りはべたべた!チヂミザサなどは、この粘液で人や動物にくっつくのです。

また、意外と観察する機会が少ないのがオオバコの実と種。実はカプセル状になっていて、フタを開けると中から種が出てきます。種は乾燥している時にはくっつきませんが、雨に濡れるなどすると粘着性が出てきます。この時に人に踏まれたりすると、人の靴の裏にくっついて移動ができます。なので、人がよく歩く場所にオオバコはよく生えています。くっつく種は草によく見られます。これも色々と探してみてください。

STEP 3

植物の旅の工夫③ 鳥に食べてもらう

  • Sp b513ec90 918a 4cc4 a8e0 3bc0bd0d856d
    ミズキの実。赤い軸に青い実がつく
  • Sp 0a91f441 ba75 459c ad50 2061961f9b3e
    クサギの実。赤いがくの中に濃紺の実がつく
  • Sp 290c028d 60ab 4532 a156 7f5df4194164
    コブシの実。赤い種がぶらさがる

秋は実りの季節なので、植物たちにもさまざまな実がつきます。色とりどりで私たちの目を楽しませてくれますが、植物は人を楽しませるために実をつけるわけではありません。動物に実を食べてもらい、糞に紛れて種を違う場所に落としてもらおうとしているのです。
なので、実は、鳥や動物の目に写りやすい色になっていると考えられます。公園で見かけるミズキは赤い軸に青い実がつきますが、この色の対比は鳥の目には目立って見える配色だと言われます。クサギは、赤いがくの中から濃紺の実を覗かせて鳥にアピール。コブシは赤い種を細い糸で吊り下げて存在を示します。

この実は誰が食べるのかなぁと想像しながら待っていれば、バードウォッチングも一緒に楽しむことができるかも?

MATOME
まとめ

次の世代に命を繋ぐことは、生物に共通した大きな目的のひとつです。一生のなかで極めて重要な時なので、その工夫も洗練されたものになります。
親元を離れて、遠い土地へ移動することは、植物にとっては命がけの旅となります。旅立った種のほとんどは適切な土地に辿り着くことが出来ず、そのまま朽ちていってしまうからです。
ほんの一握り、たまたま生存に適した土地に辿り着いた幸運な種だけが、発芽し、成長し、花を咲かせ、また種を旅立たせます。そんな厳しい旅をする植物の実や種が、美しくないはずがありません。
旅立ちでもあり、はじまりでもある種の観察、この秋どうぞお楽しみください。

『そんなふうに生きていたのね まちの植物のせかい(雷鳥社)』
 http://www.raichosha.co.jp/book/other/ot48.html
『種から種へ 命つながるお野菜の一生(雷鳥社)』
 http://raichosha.co.jp/book/other/ot56.html

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
4知性
4感性
アクティビティ
見る
環境
森 ・ 街 ・ 公園
季節
所要時間
~30分
対象年齢
小学校低学年以上
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