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【連載】バードウォッチング入門#2 「声」を頼りに身近な小鳥に会いに行こう!

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中村忠昌

ネイチャーガイド/BIRDER編集委員/東邦大学理学部非常勤講師
音の世界を体験して、身近に暮らす野鳥を意識しよう

身近に暮らす野鳥の存在、皆さん気付いていますか?
「スズメとハトかカラスくらいしか、都市部にはいないんじゃない?」と思われてるかもしれませんが、実は東京の街中でも10種くらいの野鳥が普通に生活をしています。そして、池や川、海が近くにあったり、冬になったりすると、さらにその種類は増えます。
「連載 バードウォッチング入門」は、日本で唯一の本格的バードウォッチングマガジン『BIRDER』監修のもと、野鳥観察の楽しさと魅力を全3回にわたり紹介します。この連載を通して、実は身近に多くの野鳥が暮らしていること、そして、彼らの可愛さ、美しさ、逞しさなど、たくさんの魅力に気付いてもらえると嬉しいです。そして出来れば、鳥以外の生き物や、それを取り巻く(=彼らが生活をしている)自然環境にも関心を持ってもらえることを願います。

第2回は、「声」を頼りに、身近な小鳥を探す方法をお教えします。前回紹介した水鳥に比べると、観察するのに少しコツが必要ですが、カワイイ小鳥が双眼鏡の中で、ちょこまかと動いている様子はきっと感動すると思います。ぜひ、小鳥を探しに出かけましょう!

【連載】バードウォッチング入門
#1 鳥が、もっと好きになる!
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/128
#2 「声」を頼りに身近な小鳥に会いに行こう!
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/138

╲最高のアウトドアグッズがもらえるプレゼントキャンペーン実施中!╱
https://gogo.wildmind.jp/campaign/201708/index.html

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  • 双眼鏡

  • カメラ

  • 図鑑

  • メモ帳

  • 筆記用具

  • 雨具や防寒着、日よけの帽子など(天気により)

  • 街中はスニーカーがオススメ(もしくはトレッキングシューズ)

STEP 1

小鳥の「声」を意識する

  • 街中の木々の間にいるシジュウカラ

公園や山などに実際行くと分かりますが、木々の間をチラチラ動く小鳥の姿を探すのは、なかなか大変です。けれど、ベテランの人と一緒に歩くと、「あそこにシジュウカラがいます」などと簡単に見つけてしまいます。いったいどんな“魔法”を使っているのでしょう?

ヒントは小鳥の「声」です。森の中に限らず、街中でも、最初に小鳥の存在に気がつくのは、声がきっかけになることが多いです。一度、仕事で行った調査データを数えてみたら、声で確認したものが半分以上でした。つまり、小鳥を「姿」で探すだけでなく、「声」で探すことができれば、観察のチャンスは倍以上に増えるのです!

STEP 2

音の世界を体験して、鳥の声に耳を傾けよう

  • 木のてっぺんで鳴き声がよく響くヒヨドリ
  • 巣の近くの電線などで鳴いているツバメ

では、実際に外に出かけましょう。公園などで立ち止まって耳を澄ますと、「チュン、チュン」「ヒーヨ!ヒーヨ!」「チチン、チチン」など、正体は分からなくても、鳥の声が聞こえてくるはずです。(ちなみに、声の正体は、順番にスズメ、ヒヨドリ、ハクセキレイです)

もしかしたら、飛行機の音、犬の鳴き声、虫の声なども聞こえてきたのではないでしょうか?私たちの身の周りは、意外と多くの音に溢れていて静寂ではないのです。でも普段はあまり耳に入ってきません。これは、生活に直接関係のない音を、無意識のうちに遮断しているからです。つまり、鳥の声に耳を澄ますということは、少し大袈裟に言うと、普段あまり意識していない「音の世界を体験した」と言えるかもしれません。

この感覚を覚えたら、林の中を歩いてみましょう!すると、ちょっとした鳥の声や羽音にも気づくようになります。声の大きなヒヨドリは、遠くにとまっていても気が付きます。頭上からは、ツバメの声が聞こえるようになるでしょう。木々の葉や茂みから声が聞こえたら、すぐに姿は見えなくても、声や影などでその存在を確認できます。時間に余裕があれば、少し粘ってみましょう。姿を確認できるかもしれません。

<参考 How to>
●「音に歌詞をつけよう!」
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/37

●「ブッシュクラフト入門#3 フォックスウォークで地球と歩こう」https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/90

POINT

こうして、自分の周囲360度の小鳥たちに気づくようになれば、出会いのチャンスは大きく広がっていきます。そして、小鳥が、木の先端や、電線などに止まっていたら、双眼鏡などでぜひ観察しましょう。(あ、自分の足音は立てないよう注意しましょうね)

STEP 3

身近にいる鳥の声を覚えよう

  • 写真① カワラヒワ
  • 写真② コゲラ

声に気づくようになっても、その声の正体が分からなければ、楽しさは半減してしまいますよね。ここでは、身近にいて、特徴的な声で鳴く小鳥を10種類ご紹介します。いきなり全てを覚えなくても、気になった鳥の声をいくつか覚えて、探してみましょう。

●カワラヒワ(写真①参照):「キリキリキリ、ビーーン」
針葉樹のてっぺんが大好き。

●コゲラ(写真②参照):「ギィー、ギィー。キッキッ」
ねじを巻くような声なので、勝手に村上春樹さんの「ねじまき鳥」のモデルかと想像しています(笑)キツツキの仲間なので、木の幹に垂直にとまっています。

●シジュウカラ:「ツーピー、ツーピー」
警戒すると「ジュクジュク」とも鳴きます。

●スズメ:「チュン、チュン」
人家の屋根やアンテナなどで鳴いています。

●ハクセキレイ:「チチン、チチン」
飛びながら鳴いている姿をよく見かけます。

●ヒヨドリ:「ヒィーーーヨ!ヒィーーーヨ」
とにかく騒がしい!

●キジバト:「デデー、ポーポー。デデー、ポーポー」
催眠術のように眠くなりそう…

●オナガ:「ゲーイ、ゲイゲイ」
カラスの仲間なので声はきれいではありません。

●ハシブトガラス:「カア、カア」
澄んだよく通る声です。

●メジロ:「チュルチュル・・・」と複雑に鳴きます。
覚えるために「長兵衛(ちょうべえ)、忠(ちゅう)兵衛(べえ)、長忠(ちょうちゅう)兵衛(べえ)」と人間の言葉に置き換えたりします。このような置き換えたものを「ききなし」と呼びます。

POINT

声で存在が分かれば、足元を見ながら樹上の鳥にも気づけます!

STEP 4

バードウォッチング、季節のお話し

  • ピラカンサの実に集まるオナガ
  • カクレミノの実にやってきたメジロ

小鳥に出会うには、秋から冬がオススメです。その理由は3つあります。
ひとつは、北国から多くの鳥たちが渡ってきて、種類も個体数も多くなるからです。このような鳥たちを冬鳥と呼びます。街中で見られる代表的な冬鳥は、ツグミやジョウビタキなどです。

もうひとつの理由は、木々の葉が落ちるため、樹上の小鳥の姿が観察しやすくなるからです。夏は木の葉の間を動いてシルエットしか見られなかった小鳥が、落葉すると、じっくり観察できるようになります。同じ理由で、枯れ木にある古巣なども見つけやすくなります。

最後は、木の実などに集まるためです。春から夏は子育ての時期のため、栄養のある昆虫を食べ、雛にも与えます。しかし、秋以降は昆虫も冬眠をはじめるので、木の実を食べはじめるのです。人間も好きなカキ(柿)の木はもちろん、ナンテン(南天)やムラサキシキブ(紫式部)など、色づく木の実はたいてい小鳥たちの大事な食料となります。実がなる木の場所と時期を覚えていれば、あとはそこで待つだけです。さまざまな小鳥たちが、向こうからやってきてくれます。

STEP 5

『やった!レポ』に投稿しよう

「声」を頼りに小鳥を見つけたら、ぜひ記念に撮影しましょう!「やった!レポ」に投稿して、みんなと体験をシェアしませんか?質問や感想はコメントに記入してください。

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まとめ

いかがでしたか?このHow toを室内で読んでいると、ピンとこないかもしれませんよね。ぜひ外に出て、近くの公園など大きな木があるところで、耳を澄ましてみましょう。人間の声や人工的な音に混じって、鳥たちの声が聞こえてくるはずです。その声が近くから聞こえたら、姿を見られるチャンスです。静かに、動かずに、待ってみましょう。そんなことを繰りかえしていくと、鳥たちの声が自然と耳に入るようになっていきます。通勤、通学途中でも、旅行先でも、デート中でも(!?)、もう鳥たちを探さずにはいられないはずです!
バードウォッチングは、森や高原へ行って、双眼鏡で鳥を見るイメージがあると思います。確かに自然豊かな場所へ行くと、たくさんの小鳥たちがいます。けれど、身近なところ、街中でも、こうしてかわいい小鳥たちに出会うことができ、幸せな気分になれますよ。

日本で唯一のバードウォッチングマガジン『BIRDER』;
野鳥のグラビアや探鳥地の情報、生態、識別、保全や観察アイテムといったバードウォッチングに必要な情報を満載した雑誌です。(毎月16日発売、B5判・80ページ、定価 本体1,000円+税/文一総合出版)

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季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
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対象年齢
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