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2017.08.24407 views

【連載】隠花植物入門#4 きのこを五感で楽しもう!

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新井文彦

きのこ写真家
見て、触って、嗅いで、食して……もっときのこに親しもう

はるか昔、生物の分類は、動物と植物のふたつに大きく分けられ(現在の分類体系はとても複雑です!)、植物はさらに、花を咲かす高等な植物・顕花(けんか)植物と、花を咲かせない下等な植物・隠花(いんか)植物に二分されていました。隠花植物は、シダ植物,コケ植物,藻類,菌類などを含みます。

明治時代の日本を代表する知の巨人・南方熊楠(みなかたくまぐす)は、博物学、宗教学、民俗学など、広い分野での活躍が知られていますが、植物学、中でも粘菌をはじめとする隠花植物の研究が有名です。

ぼくはきのこや粘菌が大好きなのですが、コケ、シダ、地衣類などにも興味を持っています。そう、それらの生物を、ひと言で表す便利な言葉こそ、生物学的にはほぼ死語となった「隠花植物」なのです。下等だなんてとんでもない。他の生物と同様に、地球生命が誕生して以来、進化に進化を重ねた最新鋭最先端の生物です。

この連載では、毎月第4木曜日 全5回にわたり、いわゆる隠花植物の中から、コケ、シダ、きのこ、地衣類、粘菌をご紹介します。花が咲かないから地味だ、などと思っていたら大間違い。その美しいこと、愛らしいこと……。じっくり観察したら、隠花植物のとりこになること間違いなしです。

【連載】隠花植物入門
#1 めくるめくコケワールドを覗いてみよう!
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/113
#2 不思議生物 地衣類ウオッチングに行こう!
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/121
#3 粘菌生活をはじめよう!
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/130
#4 きのこをとことん楽しもう!
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/137

╲最高のアウトドアグッズがもらえるプレゼントキャンペーン実施中!╱
https://gogo.wildmind.jp/campaign/201708/index.html

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  • ライト(懐中電灯など)

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  • 手袋

STEP 1

きのこはどこに生えるの?

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    落葉を分解するハナオチバタケ
  • Sp e01f8f40 6bea 4ab6 9615 d5b68d7ba509
    生きた木に寄生するオニナラタケ
  • Sp d2667101 c756 41da 894a 471bf3609643
    昆虫の蛹(幼虫)に寄生するサナギタケ
  • Sp ffa0d9b2 1fd0 46d1 9665 c8213b1ff8c8
    枯れた木から発生するムキタケ
  • Sp 07c50125 804f 483c 9d7b 9b0e723562d4
    木々と共生する菌根菌・ベニテングタケ

きのこはカビや酵母と同じ菌類です。植物ではなく、動物に近い生物なので、光合成はせず、外部から栄養を摂取して生きています。

きのこはその栄養のとり方で、枯木や枯葉など生物の遺骸などから養分を吸収する「腐生菌」、生きた植物や動物や菌類にとりついて一方的に栄養を得る「寄生菌」、植物とともにつくった、菌根という器官を通じてお互いに栄養のやりとりをする「共生菌(菌根菌=きんこんきん=)」と、大きく3つに分けることができます。

きのこの「本体」は、地中や枯木の中で伸びる菌糸。通常、私たちの目に触れることはほとんどありません。菌糸は管状の細胞列で、体外に酵素を分泌し、有機物を分解吸収します。わたしたちがよく目にする「きのこ」は、生殖器官である子実体のことなのです。

つまり、きのこが発生する場所は、きのこそれぞれの「好物」がある場所。枯木からは枯木を「食べる」きのこが、昆虫のセミからはセミを「食べる」きのこが発生します。

きのこについては、過去の HOW TO「世にもかわいい毒きのこを探しに行こう!」も参考にどうぞ。
https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/95

STEP 2

きのこの姿を楽しもう!

  • Sp 9f445297 67ba 40e8 95e5 96b2b59ec780
    棍棒状のカバイロテングノメシガイ
  • Sp 6a61e4c7 96c3 4c51 a188 919c78c04862
    お皿形をしたアラゲコベニチャワンタケ
  • Sp 2eca6e77 3929 4ce7 9c4a 54da9f41ccfa
    傘と柄を持つタマゴタケ
  • Sp ee2fe0de 01aa 41c0 81a9 aaebe8713bef
    ホウキのような形のチャホウキタケモドキ
  • Sp e1ea2743 8e57 4202 9626 e9084d8d2dcb
    湿度を感じると星形に開くツチグリ

きのこ、というと、多くの人が、傘と柄がある姿を思い浮かべると思います。しかし、きのこの形はもちろん、色や大きさも本当に多種多様です。

例えば、シイタケなど、傘と柄があるきのこは、傘裏のヒダから胞子を放出して、風に乗せて拡散させます(地面に生えているきのこの傘裏を観察する場合、手鏡を使うと便利です)。逆光で背景を暗くして傘を持つきのこを見ると、胞子を放出している姿を確認できるかもしれません。まるい形をしたホコリタケの仲間は、胞子が熟すと、きのこのてっぺんに穴があき、降雨や動物に踏まれた刺激などで胞子を放出します。棒形や皿形のきのこは、表側で形成された胞子が風に乗って飛んでいきます。

きのこは、胞子のつくりかたによって「担子(たんし)菌、子嚢(しのう)菌の2つに分けることができます。担子菌はマツタケやシメジなど、傘と柄を持つ、いかにもきのこらしい形をしたきのこの多くが属し、担子器という特殊な細胞の外側に胞子をつくります。子嚢菌は皿形や棒形など傘や柄を持たないような、きのこらしくない形をしてないものが比較的多く、子嚢と呼ばれる袋のような構造の中に胞子をつくります。きのこを見つけたら、そのきのこがどんな方法で胞子を飛ばすのか、推理してみるのも面白いと思います。そして、ぜひ図書館などで図鑑を調べて、正解を探してみましょう。

きのこの色がどんな役割を果たしているかは、まだわかっていません。

STEP 3

きのこに触ってみよう!

  • Sp d8ea0aec 652a 45a2 be4d 82ca7c2756aa
    外はカチカチ中はふわふわのツリガネタケ
  • Sp 31ba42f6 9aa9 4657 bcd1 2758be24e4cf
    傘を握りつぶしても元に戻るカラカサタケ
  • Sp f3ea676b 4410 4da8 ab6d 9abdb095882b
    傘裏がスポンジ状のオオダイアシベニイグチ
  • Sp bf6e8184 d157 4b5e 8243 d4b33a01eccf
    触れると胞子を放出するタヌキノチャブクロ
  • Sp 82aac93c 6231 4183 a7ec ed0f8680e899
    ハナビラダクリオキンはまるでゼリー

きのこを見つけたら、色や形をチェックするだけではなく、ぜひ、さわって、手触りを確認しましょう。きのこの採取が禁止されてない場所であれば(必ず土地の管理者に確認してください)、手にとってじっくり観察してみましょう。

秋の味覚マツタケは香りや味が話題になりますが、固くてぷりぷりして触り心地抜群。採取するとき、地面からすっぽん、と抜ける感触がまた素晴らしいんです(笑)。イグチの仲間は成熟すると傘裏がスポンジのようにふわふわ。変色するタイプは指で落書きもできちゃいます。また、ナメコに限らず、傘の表面がぬるぬるしているきのこも多くあります(ぬるぬるは虫よけになっているという説が)。ホコリタケの仲間は、幼菌時にはぷるぷるして弾力性があり、成熟すると胞子の放出も楽しめます。サルノコシカケの仲間の多年生のきのこは、多くが、かちかち。きのこらしからぬ感触がグッド。10本のきのこがあれば、10本の触感が楽しめます。

ただし、いま、各地で発生が確認されているカエンタケは要注意。食べたら死ぬほどの猛毒を持つきのこで、皮膚刺激性も高いので決して触らないようにしましょう。詳しくは厚生労働省のサイトをご覧ください。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000143427.html

MATOME
まとめ

自然のきのこを探すことは、日常生活からちょっと離れた、とっておきのリクレーションではないかと思います。図鑑で見ていたあのきのこを、フィールドで、自分が見つけたときの嬉しさ!もう最高です。

きのこを見つけたら、五感を駆使して、思いっきり楽しみましょう。しかし、残念なことに、きのこの音を楽しむのはちょっと大変かもしれません……。ミズゴケの中には胞子が入った「袋」が弾けるとき、パチッという音がするものもあるらしいので、そんなきのこがもしかしたらあるかもしれません。

きのこは、街でも、原生林でも、1年365日見ることができます(多年生のきのこも多数)。同じきのこを長く観察するもよし、新しいきのこを探してフィールドを新規開拓するもよし。それぞれの方法できのこを楽しんでください。きのこが身近になれば、きっと自然の見え方も変わってくるはず。それこそが、きのこ観察の最大の醍醐味だと思います。

もっときのこを知りたい人のために
オススメ参考文献
ぼくの著書『森のきのこ、きのこの森』をご参考にどうぞ
http://ukigumoclub.com/index_06.html
『増補改訂新版 日本のきのこ(山溪カラー名鑑)』山と溪谷社
https://goo.gl/rh714p
『きのこ博士入門―たのしい自然観察』根田仁/著、伊沢正名/写真 全国農村教育協会
https://goo.gl/KhqHVj

※このHOW TOでは、きのこの食毒について触れておりますが、実際に判断する場合には必ず専門家にご相談ください。

GROW CHART
成長スコアチャート
野性3
4知性
4感性
アクティビティ
探す
環境
山 ・ 森 ・ 街 ・ 公園
季節
春 ・ 夏 ・ 秋 ・ 冬
所要時間
1時間~3時間
対象年齢
小学校低学年以上
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