2011年の震災を機に、食の安心安全を伝えるために大規模貸し農園の運営を手がけ、2016年春に独立、フリーランスの農園コンサルタントとして活動している。そのかたわら発酵クリエイターとして味噌作りなどの食農イベントも多数開催。農業、狩猟、釣りなど、オールラウンドに自然を楽しむ。千葉県君津市に、未来農場CropFarmを設立。畑を通じて自然教育、食育を発信している。twitterアカウントは@Yuu_Miyahara
アウトドアの楽しみのひとつは、何と言っても野外で楽しむ料理。普段料理をしないお父さんやお子さんも、キャンプでは積極的に楽しんでいるのではないでしょうか。でも手の込んだレシピは作るのが大変・・・そこで今回のHow toでは、どんな料理も美味しさを倍増させる万能調味料『味噌』を手作りしちゃいます。
「味噌は医者いらず」「味噌汁1杯三里の力」など、健康食としても注目されてきた味噌ですが、原料は、大豆と麹と塩のたった三つだけ。麹の中に含まれる酵素が大豆を分解し、自然に存在する各種細菌が美味しい味噌に作り変えていきます。
完成までには8ヶ月ほどかかります。ゆっくりと時間をかけて味噌の色や香りが変化していく様子を、観察して待ちましょう!
[食材]
乾燥大豆(黒大豆も可)
300g
乾燥麹
250g
塩
130g
[道具]
1L以上の円筒型タッパ(百円ショップなどで購入可能)
重石用の塩(市販の食塩200gを薄手ビニール袋に入れる)
ラップフィルム
ウォッカ(消毒用)
200ml程度
霧吹きボトル(ウォッカを入れて準備)
キッチンペーパー
厚手のビニール袋(茹でた大豆を潰す用)
*厚み0.05mm、サイズ30cm×30cm以上が便利
温度計
ボウル
鍋(容量1.5L程度)
味噌づくりに必要な食材は3つ。米麹、大豆、塩です。
米麹はスーパーなどで簡単に入手できる、乾燥麹を使います。大豆は一般的な乾燥大豆を使いますが、黒大豆でも美味しくできます。塩は普通の食塩でOK、こちらもお好みで天日塩などを選んでください。
まず、使用する乾燥大豆を300g計量し、仕込み作業の15時間前に水につけてください。大豆は水を吸うと、およそ2倍程度に膨らむので、水につけた時に水かさが大豆の倍以上になるようにしてください。
使用する道具を準備し、手をしっかり洗ってください。
市販の乾燥麹を250g計ります。袋から出すとブロック状になっているので、ちぎって計量してください。塩も130g計量します。
味噌容器はよく洗い水気をふき取ってから、内側に霧吹きでウォッカを吹きかけ消毒してください。そのまま蓋をして置いておきます。
味噌作りには雑菌が大敵です。作業の前に手洗いうがいをしっかりして、臨みましょう。
大豆がしっかり吸水したら水を捨て、鍋に移してから新たにひたひたになる程度に水を足し、中火で2時間ほど煮ます。
大豆を一粒取り出して親指と小指で挟み、簡単に潰れるくらいの柔らかさになったらOKです。火を止めてください。
・乾燥大豆をひとつまみ残しておいて、吸水後の大豆と大きさを比べてみましょう。なんで形が変わるの?大豆に限らず、乾燥した植物の種子は厳しい季節を乗り切る休眠状態にあります。水につけることで細胞が水分を取り戻し、本来の豆の形に戻ります。
・小さい鍋だと豆の煮え方にムラができてしまいます。余裕がある大きさの鍋で煮ましょう。
・やけどに注意しましょう。
大豆を煮ている間に、固まりになっている麹をバラバラにほぐします。麹の塊をひとつまみ手に取り、ボウルの上で手をこすり合わせるようにすると、麹の力でくっついていた米粒が剥がれて崩れていきます。十分にほぐれたら、規定量の塩を入れ、よく混ぜ込んでください。
『甘酒作り』に続き、醗酵How toをご紹介しました。仕込んだ味噌は、塩や微生物に守られながら、8ヶ月ほどかけて腐らずに醗酵していきます。でも水分を含んだ食べ物が、常温で何ヶ月も何年も置いて食べられるなんて、ちょっと不思議ですよね。
それもそのはず、味噌はもともと醤(ひしお)という塩漬けを醗酵させた保存食を起源としていて、日本ではなんと、縄文時代の遺跡から似たものが発見されているそうです。
自然の恵みは、たくさん得られる時もあれば、何も得られない時もあります。冷蔵庫や缶詰がない時代から、人は自然の中で食べ物を保存する方法を編み出してきたのですね。
皆さんは、山で木の実や果実をたくさん見つけたとき、海で思いもよらず魚がたくさん釣れたとき、それらをどうしますか?そのとき必要な分だけ持ち帰るのも、もちろん良いでしょう。でも、伝統保存食には、旬の恵みを余すことなく頂く知恵がたっぷり詰まっています。
このHow toをきっかけに、『保存して食べる』ことに注目してもらえれば嬉しいです。
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