日常の生活空間や街は「人間の都合でデザインされた世界」といえます。日々の社会生活のなかで、誰もがいろんな人の都合に左右され、ときにはぶつかり合いながら懸命に生きていますが、まるで身動きが取れなくなったり、命を奪われることは稀です。人の世界は厳しいながらも手心や情けがあります。そんな世界の対極にあるのが川です。川の流れはどこまでもパワフルで、一歩川の中に入ったら、そこから先は川の流れに従うしかありません。流れに抗おうとすればするほど、体力を消耗していきます。水の世界には人の世界で働く「容赦」がありません。陸上と違って、川のなかでは自分の思い通りに動けません。水のなかでやるべくことは、力みを捨て、流れを感じとり、流れに働く力に寄り添うこと。川の流れは決して一様ではありません。1本の川のなかには、いく筋もの向きと力が違う流れが走っています。そのなかから乗るべき流れを見つけ出し、それをつかめば少ない力で水の上を移動できます。流れを読む力を育むのに最適の道具がリバーボードです。浮力と高い操作性を備えたリバーボードは、水の流れを体で学ぶのに最適の道具です。リバーボードで川へ出て、水の流れを体感し、それを乗りこなしてみましょう。
一般の遊漁者に許される漁法のなかでも、とくに効率が高いのが投網。使える状況は限定されるものの、地形や水位とマッチすれば、ほんの数投でその日のタンパク源を調達できます。一度身につければ、その技術は一生もの。きれいな川や海の近くに住んでいるなら、ぜひ覚えておきたい生活技術です。
私が長く通いつめているのが、鳥取県の菜種五島の周辺です。このエリアは地形の変化に富み、深く切り込んだ入江や海蝕洞を探検するようなツーリングを楽しめます。菜種五島を含むこの一帯は地質学的にも価値が高く、ユネスコから「山陰海岸ジオパーク」として認定されてもいます。私はこの海を最初はダイビングで楽しんでいましたが、 10年前に新たな道具としてSUPが加わったことで遊び方が一変しました。水の上を歩くように進むSUPは異次元の自然体験で、それでいてマスクをつけて飛び込めば、海中の風景や生き物を見ることができます。SUPを手に入れたことで、総合的にこの海を楽しめるようになりました。船でも徒歩でもたどれない海岸線を漕ぎ、ときに海中をのぞき、波があれば乗るSUPのツーリングは、日本の海を楽しむのにぴったりの遊びです。
仕事がら、あちこちの水辺に出かけてはタモをふるいますが、年を追うごとに日本の水辺の環境が悪化しているのを感じます。その原因のひとつが、もともとはその地域にいなかった生きもの(=外来生物)の侵入です。そのまま野外に外来生物を置き続ければ、その地域の固有の自然が損なわれてしまいます。しかし、外来生物にも命があります。もとあった自然に対して外来生物が及ぼす影響と、個々の外来生物の命の重さはどのように考えればよいのでしょうか。また、子供たちに環境の保全と命の尊重をどのように伝えればよいのでしょうか。「地域の自然を守りたい」と市民が志したとき、外来生物をどのように扱うべきか。さまざまな視点から考えてみましょう。
ここ数年で、肉や魚の身は新鮮なものだけではなく、数日寝かして熟成させたものもおいしいことが知られ始めました。また、お寿司屋さんでも仕入れたばかりの鮮度の高いお魚をすぐに出さずに熟成させた魚を出すお店もあります。おいしさは主観に大きく左右されます。鮮度が高くて身が締まり、歯応えのある鮮やかな色味のものがおいしい、と感じる人もいれば、熟成が進んでやや柔らかくなった甘い身がおいしいと感じる人もいます。その中間を好む人もいるでしょう。一度に食べきれない魚を手に入れたときは、魚の熟成を試してみるチャンス。釣りたてから数日かけて食べ比べれば、自分がどんな歯触りと味を好むのか知ることができます。魚の熟成の仕組みと熟成させるための技術を知り、味の変化を五感で感じ取ってみましょう。
野営の技術のひとつだった飯盒炊爨に始まって、いまではキャンプでのレクリエーションの花形となった野外料理。たくさんの専門書が刊行され、キャンプ場ではサイトを離れずにずっと料理を楽しむ人も見られます。用意した食材に創意工夫を凝らして美味しい料理に仕立てるのは楽しいものですが、手の込んだ料理ならば家庭でもつくれます。せっかく野外で調理するのですから、野外でしかできない料理に触れてみるのはどうでしょうか? 屋内でつくる家庭料理は調味料や加工によって風味を高めていく足し算の料理ですが、その反対に料理の手数を引いていくことによって見えてくるものもあります。素朴な野外料理は、調理の根源について考えるきっかけを与えてくれるでしょう。
「野の香り山の味」を謳って、「郷土料理ともん」を開店したのは1976年4月、私が24歳になる少し前のことでした。渓流釣りを通して各地の山渓に出かけた私は、いつしか多くの山人とも知り合いになりました。山梨県でヤマメ、イワナの養魚場を営むAさんとは、釣りによる親魚の採捕に何度も同行し、ワラビ狩りやヤマウド掘り、秋にはキノコ狩りにも出かけました。同様に長野県の伊那谷のBさんとはマツタケの山に入り、同じく福島県の奥会津のCさんとは、マイタケを目的に飯豊山の深山にも分け入りました。そのほかにも渓流釣りを通して知遇を得た多くの山人たちの協力を得て、山渓の幸を扱う「ともん」はスタートしました。私が抱いた〝山河に深く関わって暮らす〟夢はこうして始まり、まもなく半世紀になります。ここでは私の経験をもとに、季節を追って野生食材の採集の魅力についてお伝えしましょう。
夏の人気の遊び場といえば……川! たくさんの生き物が暮らし、透明で冷たい水の流れる川は、いくつになっても心躍るフィールドです。そのいっぽう、川は大きな事故が起きやすい場所でもあります。若い頃にリバーガイドとして働き、一般の人より川や水の流れに詳しい私でも、子どもを連れて川に行くときは「今日こそ事故を起こすかもしれない」と常に緊張しています。驚くほど簡単に、水は人の命を奪います。悲惨な事故を防ぐには、川の危険を知って万全の準備をすることが必要です。入門者にも簡単に実践できる原則を知り、楽しく水遊びをしましょう。
みなさんは、イカを食べたことがありますか? さきいかや塩辛などの加工品を含めると、食べたことのない人はほとんどいないのではないかと思います。それくらい食材として身近なイカですが、生き物としての生態や魅力はまだまだ知られていないことばかり。生き物を知る方法の一つとして「解剖」があります。ここでは丸のままのイカを解剖し、最後に食べる方法を紹介します。イカの体には、これでもかと不思議と魅力が詰め込まれています。観察せずに食べるなんてもったいないですよ!
皆さんは五穀豊穣という言葉をご存知でしょうか。現在の日本人の主食といえば米ですが、その他にも麦、粟(あわ)、黍(きび)、そして豆を加えた5種の穀物は米と同様に大昔から日本の食生活に欠かせない主要作物でした。その中でも豆=大豆は、育てるのが容易で収量も多く、古くは縄文時代の遺跡からも大豆の原種であるツルマメの痕跡が見つかっています。今回紹介する納豆はそんな五穀のひとつ、大豆を使った日本の伝統発酵食です。微生物の働きで豆の栄養価をさらに高めた納豆は、実は特別な道具を使わず家庭で作ることが可能です。納豆作りにチャレンジして、目に見えないミクロな自然を感じてみましょう。
「砂金採り」と聞くとアメリカのゴールドラッシュや時代劇がイメージされますが「現代でもじゅうぶん採れる!」と言ったら、みなさんは驚くでしょうか。私も取り組んでみるまで半信半疑でしたが、今ではポイントに出かけるたびに必ず砂金を採っています。しかし、丸一日かけても採れるのは0コンマ数グラム程度。かける労力に対してまるで儲かりません。だけど、それがいいのです。儲からないからこそ、自然界から元素のひとつである金を探しだすことに純粋な喜びを見出せます。地球が川に隠した金をみなさんも探してみませんか?
テンカラ(毛バリ)釣りとは、イトの重みで毛バリを飛ばす和式フライフィッシングである。動物の毛や鳥の羽で作った疑似餌で魚を釣る歴史は古く、紀元前から世界各地にあったとされている。日本でも古来、ニワトリの羽や動物の毛などを使った毛バリを、竹の竿と馬の尻尾の毛で飛ばし、魚を釣っていた。現在、それらの道具はより洗練されて使いやすくなっているものの、竿、飛ばしイト、ハリス、毛バリ、という四つの道具しか使わないシンプルな道具立てに変わりはない。虫に似せたハリを魚に咥えさせることがテンカラ釣りのカギなため、この釣りは通常、虫を食べる渓流魚を相手におこなう。釣りのフィールドになる渓流を毛バリを打ち込みながら移動する行為は、自然とのダンスともいえる独特の躍動感があり、ニセモノのエサ(毛バリ)で魚を騙すことは、遊び心といたずら心にあふれた野生との真剣な駆け引きといえる。足下を流れる清流はそのまま飲むことも可能で、宝石のような渓流魚は食べてもとてもおいしい。行為がおもしろく、技は奥深く、こちらから積極的にアプローチしていく狩りに似たテンカラ釣りを、自然との一体感を感じながら、多くの人に楽しんでいただきたい。
アユは北海道南部より南の川に生息する淡水魚。その香りの良さで古い時代から日本人に愛されてきました。このアユには面白い習性があり、大型の個体はナワバリをもってそこに入る他の個体を排除します。ところが小型の個体はナワバリをもたずに群れを作って川のなかを回遊します。体のサイズによって、とる行動がまるで変わるのです。その習性を利用するのがアユのルアー釣り。アユに似せたルアーをアユがいる場所に送り込んで、ルアーに寄ってきたアユを掛けるのです。夏の川に浸かって、アユとの駆け引きを楽しんでみませんか?\ PRO TREK PRW-61 × WILD MIND GO! GO! /ケース・バンド・裏蓋に、植物由来の再生可能素材「バイオマスプラスチック」を採用したPRO TREKのエコモデル!詳しくはコチラから
海や山、川といったフィールドに出かけたとき、身体はさまざまな情報を感じ取ります。空気の冷たさ、草の匂い、目に射す光、頬をなでる風、土の感触、虫の声……。 素晴らしい体験をしたとき、私たちはその場の記録を残します。いちばん身近な手段としては、撮影が挙げられるでしょうか。しかし、残念なことに嗅覚や触覚、味覚などについては、個人の体験を客観的な記録として残す術は開発されていません。 ところが「記録して再生する」という点で、視覚と同じように情報を残せる感覚がもうひとつあります。それは「音」です。音の情報は写真や映像を残すように、その瞬間、その場にあったものを記録して繰り返し再生できます。 そして、写真よりも優れた点として、音の情報は個別のものを重ねてひとつにすることができます。 小鳥のさえずり、梢を鳴らした風、沢の水音、カエルの鳴き声……。それらを個別に録音してあとで重ねれば、そのフィールドの音の景色をひとつにまとめあげられます。必要な道具はちょっといいレコーダーといくつかの機器だけ。あなたも、フィールドに満ちる音を採集してみませんか。\ PRO TREK PRW-61 × WILD MIND GO! GO! /ケース・バンド・裏蓋に、植物由来の再生可能素材「バイオマスプラスチック」を採用したPRO TREKのエコモデル!詳しくはコチラから
魚は種類によって口の構造が異なります。口の構造に限らず、あらゆる魚の体のフォルムの違いには、生息域にあわせた捕食スタイルによって大きく影響があるようです。それは、魚が進化の過程で身につけてきたデザインともいえるでしょう。このHow toでは、普段食卓にあがる身近な魚で口の構造を観察し、海で泳いでいた時はどんな捕食をしていたか、またどうしてそんな構造になったのか想像してみることで、進化のデザインに触れてみます。