「野草を食べる」というと、なにか少し変わったこと、楽しそうなことと感じる人が多いかもしれません。もちろん、そういう気持ちや気分というのもよくわかるのですが、じつは、それ以外にもぜひ気がついてもらいたいことがあるのです。それは、私たち人類は、この地球上に誕生したときから、ずっと植物を食べ続けてきたということです。けれども、今日のように人為的に田んぼや畑で作られる穀物や野菜がなかったときは、一体どうしていたのでしょうか? それは、もちろん、自然の大地に生える野生の植物を食べていたのです。そして、その野生の植物というのは、大きく分けて、「木」と呼ばれる木本植物と、「草」と呼ばれる草本植物とがありますが、このうちの草本植物にあたるものが、いわゆる「野草」と呼ばれているものにほかなりません。つまり、私たちは、人類としてこの世に登場して以来、ずっと「野草」のお世話になってきたということです。ですから、「野草を食べる」ということは、ただの楽しみばかりでなく、「私たち人類は野草によって支えられてきた」という大きな意味があることにも気がついてもらいたいと思うのです。
さまざまな生き物が目覚める春は、散歩や山歩きの楽しい季節です。色とりどりの花に心もウキウキして、思わず、木の花・野花などを採集して持ち帰りたくなりますね。家に持ち帰ってそのまま生けるのも良いですが、ちょっとした色集めのコツを知っていると、配色をポイントにした素敵なボックス生け花を作ることができます。ちょっとしたコツ、それは「補色の関係」です。補色(ほしょく)とは、色相環の中で反対側に位置する色のペアのことで、この2色の取り合わせは最もバランスのとれた美しい配色と言われています。なんと色の世界には最初から決められたお相手がいるのです!このHOW TOでは、そんな補色の関係が一目で分かる「補色ガイド」を使って、自然の中の春色から補色を見つけ出すことに挑戦します。そして、採取した植物の補色ペアでボックス生け花を作成します。作品を眺めながら、補色が人間にとってバランスのとれた美しさであるということを感じてみましょう。<関連HOW TO>「自分のネイチャーカラーパレットをつくろう!初級編」https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/39「冬の植物を採集して、冬色スケールをつくろう!」https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/221
気温が上昇し、吹く風が春めいてくると、植物たちもにわかに動き始めます。足もとに咲くちいさな草花を見たり、樹上の可愛らしい芽吹きを見たりと、春の植物には見どころが満載です。なにを見ても楽しい季節ですが、その楽しみをさらに倍増させる方法があります。それは、春の植物観察を冬のうちからはじめておくことです。春は、ある日突然やってくるように感じますが、じつはそうではありません。植物の動きが止まってしまったかのように見える冬に、その準備は秘かに行われているのです。となれば、冬の終わりから植物観察をはじめることには、なにか意味がありそうです。具体的な植物観察事例を通して、春の予兆の楽しみ方が伝われば嬉しいです。今年はぜひ一足早く植物観察をはじめてみましょう!
冬のとっておきのお楽しみ。冬芽観察に出かけましょう!・・・といってもわざわざ野山に行く必要はありません。家からすぐそばの場所でも、個性豊かな冬芽をたのしむことができます。方法はとっても簡単。樹木を探し、枝先をのぞきこむだけです。あとはルーペさえあれば、これまで素通りしていた近所の樹木の魅力にぐぐぐっと近づくことができます。家にこもりがちな季節ですが、気分転換も兼ねて近所のお散歩をたのしんでみませんか?冬にしか見られない期間限定の自然の芸術がまっています。
冬、身近な植物たちは枯れて冬色になります。そんな色が無くなった世界でも、枯れ葉や枝を見比べてみると決して同じ色ではありません。明るく白に近い「茶色」から、暗く黒に近い「茶色」まで、同じ茶色ですがそこにはさまざまな明るさがあります。私たちがあたりまえに見ている風景には色がついています。「見る」という行為は受動的なので、自然の美しい色使いの風景を見た瞬間に心を奪われますが、いざ自分でその感動的な色を何かに応用しようとしても、なかなかうまくいかないことに気づきます。そんなとき、自然の色で作られたスケールがお手本にあったら、と思いませんか?このHOW TOでは、枯れた植物を採集して見比べることで、同じような枯れ色にも明るさの違いがあることを発見し、色の「明暗」を意識できる「明るさのスケール」を作る方法を紹介します。冬色スケールが美しい色使いの糸口であることを体験しましょう。
“Wonder”=不思議・驚き・奇跡自然の中には“Wonder”がたくさんあります。教科書や図鑑にない、“私のWonder”を探しに出かけましょう。ある時、3歳の男の子が手のひらをギュッとにぎって山道を歩いていました。手のひらの中には小さな小石がありました。何てことない小さな黒い小石ですが、手の中にぴったりとおさまる大きさや色に、何ともいえない“ちょうど良さ”がありました。触るごとに愛着がわき、落としたときには必死に探しました。その小石の“良さ”は、ほかの誰にもわからないかもしれません。けれど、自分だけが感じられる何ともいえない“良さ”に、男の子は出会えたのです。たとえば“Wonder”は、そんな小石かもしれません。または、曲がった木の枝、落ちた椿の花、穴の空いたどんぐり。雨粒がついたクモの巣。夏の木漏れ日。同じものには二度と出会えない自然の中だからこそ、見つけた“Wonder”にいっそう心がときめきます。誰かの「いいね」ではなく、私の「いいな」を見つけること。子どもは「いいな」を見つける名手です。「いいな」と感じるものを見つけたら、写真を撮ったり、大事に拾って持ち帰りましょう。そうして集めた“Wonder”をボックスに入れて、作品に仕上げましょう。
太陽からはいろいろな光が降り注いでいますが、その中には人の目には見えない「紫外線」が含まれています。紫外線と聞くと、日焼けの原因になるのであまり良いイメージがないかもしれませんが、実はその光で照らすと"光る生き物たち"がいるのです。ここでは、誰でも簡単に手に入る「紫外線ライト」を使って、私たちの身の回りや、身近な自然の中にいる生き物を観察する方法を紹介します。思いもよらない生き物の新たな姿に出会えるかもしれません。
「葉っぱを描いてみましょう」と絵を描いてもらうと、緑色の絵の具やクレヨンを手に取る人が多いのではないでしょうか。葉っぱはどんな色をしているでしょう?実際に植物を観察すると、言葉では言い表せないほど色や質感が豊かです。同じ木に生えた葉っぱでも、一枚いちまい色が異なります。葉脈のかたちも、虫食いのかたちだって違います。今回は葉っぱを丸くくり抜いた「葉っぱ丸」をつくって、葉を観察してみましょう。葉っぱのかたちが丸く統一されることで、色の美しさや柄の面白さがより一層目に鮮やかに見えてきます。知っていると思い込んでいる葉っぱが、びっくりするくらい美しく思えたり、なんだか別のテクスチャに見えてきたり、知らない存在に思えてきたり・・・。身近なところに潜む感動をきっと発見できるはずです。
皆さんは、身近な植物をじっくりと観察したことはありますか?「生を写し取る」と書いて「写生(スケッチ)」は、モチーフ(対象物)の構造やしくみを丁寧に観察し、形のなりたちを理解するために行ないます。スケッチをすることは、その存在そのもの、つまり命の力を感じ取ることにつながります。そして、スケッチを繰り返してゆくと、対象物を観察する目も養われて、これまで見えなかった微細な形まで見えてくるようになります。このHOW TOでは、身近な植物をモチーフにしてスケッチすることで、植物の構造や仕組みを観察し、形の成り立ちを理解する方法を紹介します。でも真っ白いスケッチブックに、モチーフを正確に写しとるのはとても難しいことで、かなりの技量が必要ですよね。正確に外形を写し取れないと、その後どんなに描き込んでも、何を描いたのかわからなくなってしまいます。そんな残念な経験を何度かくりかえし、たいていの人は絵を描くことを断念してしまいます。でも大丈夫!ここでは、モチーフの形をなぞって写しとる「トレース」という手法を用い、外形を正確に写しとったあとで、その外形内の描き込み=「観察すること」に集中してスケッチを進めます。散歩の途中で見つけた草木や、室内の観葉植物など、身近な植物でも楽しめるので、皆さんもぜひ挑戦してみましょう。
ここ最近、縄文時代に注目が集まっていることをご存知でしょうか。およそ15000年前から1万年以上続いた時代。あまりの時間的隔たりに「同じホモ・サピエンスなの?」と思いたくなりますが、間違いなく同じホモ・サピエンスであり、私たちからざっくり80代遡ると縄文人に行き当たるのです。そこで今回は、縄文人たちとの繋がりを日常の暮らしの中から探し出し、私たちの中に眠る縄文人の痕跡を探ってみたいと思います。私たちの暮らしには、縄文時代から続いているものが結構あります。今回はその中でも「食べること」を通して縄文人と私たちの繋がりを探し出し、日本人特有の味覚センスについて考えることにします。そして体験を通じて、私たちの中にある12%の縄文人DNAについても考えてみることにしましょう。※STEPで紹介するジオラマの写真は、新潟県立歴史博物館のものです。http://nbz.or.jp/
山や森、川、海などの自然環境には、さまざまな生き物が生息しています。また、近所のスーパーマーケットに行くと、いろいろな生き物が私たちの食べ物として並んでいるでしょう。どんな生き物も基本的には小さな細胞からできていて、細胞の中には、その生き物の設計情報や遺伝情報を担っているDNAと呼ばれる物質が入っています。今回は、その細胞やDNAの持っている性質を利用して、身近な植物、野菜や果実などからDNAを抽出する方法を紹介します。
木々の葉っぱや花びら、野菜や果物の皮など、天然の素材を染料として布や糸を染めることを「草木染め」と言います。天然の植物で繊維を染める技術は、紀元前数千年以上も前から確立され、四季がある日本は、植物の種類がとても豊富で、染色の技術が発達したと言われています。今回は、温度や時間を細かく調整したり、何度も重ねて染めたりする本格的な草木染めではなく、WILD MIND GO! GO! 編集部が、台所にある道具を使って、植物や野菜など身近な素材で、実験的な感覚で草木染めの基本に挑戦します。果てして自然から、どんな色をもらえるでしょうか?*火を使うので、子どもは必ず大人と一緒に作業しましょう。「葉脈標本を作ってみよう!」https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/94
デザイン体操は、自然がデザインした『美しいお宝』を発見する、宝探しエクササイズ。自然に潜在する不思議を知覚し、お宝発見の喜びを分かちあいながら、子どもの世界を無限大に広げるデザイン演習シリーズです。今回のテーマは、四つの直角に守られ不思議な力を秘めた形『正方形』のお宝探し。正方形は、人工的な形と思われていますが、よくよく探せば、自然の中にもたくさん存在します。これから割れようとする木の幹の皮や、つぼみ、種、四枚の花弁やガクの中にもあります。自然の中に隠れている『美しい正方形』のお宝を発見して、身近な自然の中にある幾何学を体感しましょう。【連載】親子で楽しむデザイン体操#1 美しい円形を発見しよう*初級https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/181#2 美しい三角形を発見しよう*初級https://gogo.wildmind.jp/feed/howto/185
きのこを植物の仲間だと思っている人がいるかもしれませんが、きのこは、カビや酵母と同じ菌類。植物よりも動物に近い生きものです。ですから、光合成をすることができないので、生きていくためには何かを食べなければなりません。きのこは、枯木や枯葉などから生える「腐生菌(ふせいきん)」、生きている植物や動物や菌類から生える「寄生菌(きせいきん)」、植物と一緒につくった、菌根という器官を通じてお互いに栄養のやりとりをする「共生菌(菌根菌=きんこんきん)」と、大きく3つに分けることができます。つまり、きのこが生えている場所は、そのきのこが好きな「食べ物」があるところなのです。今回は、たくさんの種類があるきのこの中でも、生きている虫などにとりついてその虫を栄養にし、結果的には殺してしまう「冬虫夏草」という、ちょっぴり不思議なきのこに注目します。一緒に楽しみましょう。
デザイン体操は、自然がデザインした『美しいお宝』を発見する、宝探しエクササイズ。自然に潜在する不思議を知覚し、お宝発見の喜びを分かちあいながら、子どもの世界を無限大に広げるデザイン演習シリーズです。今回のテーマは、最も安定した形であり、様々な形の原型となる形『三角形』のお宝探し。飛行機雲が作る三角形から、枝が織りなす三角形、花のつぼみの中の三角形、虫や鳥の体の三角形まで、お宝の『美しい三角形』を発見して、身近な自然の中にある幾何学を体感しましょう。